引き続き、夏の装いについてです。
今回は肌着。
私はあまり肌着と長襦袢が一体化した「うそつき」を着ることは少ないです。
別に好き嫌いで着ないというわけではなく、着物の素材によって、着る・着ないを判断しています。
汗ばむ季節はなるべく着る枚数を減らして体への負担を少なくしたいので、木綿や麻の着物のときはロング丈の半衿付き着物スリップとか、半襦袢+裾除けで肌着を省略、といった着方もします。
でも正絹の着物のときは、基本的に「うそつき」は着ません。
着物や帯になるべく汗を通したくないからです。
やはり「肌着→長襦袢→着物」の順番で着ることで、肌着に汗を吸い取ってもらい、正絹の着物に汗ジミがつくのをなるべく防ぎたいのです。
そういう意味では、化繊素材の着物なら汗ジミを心配する必要はないので、「うそつき」は活躍します。
・・・というようなことを、生徒さんから質問を受けたときにはお伝えしています。(⌒∇⌒)
前置きが長くなりましたが、要するに、「夏の肌着は汗問題を考えて着用する」ということを言いたかったのです。
というのも、今年の酷暑で肌着について思い知らされたことがあったから。
私は無精な性格なので、あまり細かく出したりしまったりせず、洗濯を繰り返しながら同じものを着続けることが多いです。
肌着も「あしべ襦袢」を夏場は愛用しているので、この夏も7月くらいまで大活躍でした。
「あしべ汗取り襦袢」とは、肌襦袢の胴部分に綿布で包んだ燈芯(イグサの中心部分)をキルティングで織り込んで作られた肌着です。
←の左側があしべ襦袢。
しっかりと汗を吸い取ってくれて、快適です。
でも・・・お香のお稽古で聞香(香炉を鼻の近くに持ってきて、香りを嗅ぐこと)のときに、自分の汗がモウッと臭ってきたのです・・・。
ショック!!
今までは、そのようなことはなかったのに・・・。
サラシの肌襦袢のときは、そのようなことはありません。
あしべのときだけ。
で、気がつきました。
あしべは「しっかりと汗を吸い取ってくれる」けれど、今年の夏はあまりの酷暑なので、今まで以上に汗をかいているのですね。
だから、吸い取った汗が臭ってしまう・・・。
特に聞香のときは両肘を張って、顔を下に向けるので、体にこもっている汗の臭いを自分で気づいてしまうのでした。
あしべ、優秀だけれど、お香のときは使えない・・・。
手持ちの他の素材の肌着もトライしました。
フィールドセンサーという素材の肌着は、購入してしばらくは快適ですが、洗濯を繰り返すうちに吸湿速乾という特性が弱まってしまったのは過去に経験済みなので、却下。
とあるメーカーの肌着は縫製も丁寧で肌触りもとてもよく、汗をぐっしょり吸収するのですが、そのぐっしょりが長時間肌に当たったままでいたら、汗疹 (あせも) ができてしまいました・・・。
(ちなみにあしべは汗を吸収したあとは、比較的サラッとしています。個人的感想ですが。)
というわけで基本の綿の晒の肌着かなぁ・・・と思っていたところ、「本麻手もみ楊柳のきものスリップ」を持っていることを思い出しました。
↑の画像の右側のもので、シワシワした生地です。
何年も前に購入したものですが、ちょっと生地の硬さが苦手であまり着用していませんでした。(^_^;)
それを引っ張り出して着用したら、すごく快適!!
酷暑の中では、麻の感触が体に負担が一番少ないです。
肌に乗せた直後の麻特有のゴワッとした感じは否めませんが、すぐに汗に反応して柔らかくなります。
数回着たら、慣れました(笑)。
毎日、麻のスリップ。
ところが、思わぬトラブルが発生。
薄グレーの絽の小紋と濃紺の博多の名古屋帯の組み合わせのとき、一日の終わりに脱いだら背中に帯の色移りが!!
思いっきりブルーの染みが背中の帯枕の位置にできていました・・・。
でも、この着物と帯の組み合わせは、もう4年ほど毎年着ているのですが、今までそのようなことはありませんでした。
なぜ今回?と疑問に思ってふと気がついたのが、「肌着」。
今までは、肌着はあしべを着用していたのですが、今年に限っては麻の楊柳。
「これだ!」と結論に至りました。
あしべは汗をしっかり吸収してキープしてくれていた。
麻は湿気を放出する特性があるので、汗を通す・・・。
だから帯の染料が色移りしてしまったのでしょう。
ちなみに長襦袢と絽の小紋ともウォッシャブルシルクだったので、ウタマロ石鹸で洗ったら落ちました。
ウォッシャブルでよかった・・・とつくづく思いました。(⌒∇⌒)
ウタマロ、さすがです!
麻の肌着は快適なので来年以降も着用しますが、汗問題と帯の色移り・・・肌着を着るときに注意しないといけないことを、学びました。
みなさまもお気をつけくださいませ。