今月は気温の上下はあるものの、全体としては穏やかな気候ですね。
自宅マンションそばの中原街道では、ハナミズキが満開です。毎年桜の季節が終わると、桃色と白色のハナミズキが目を楽しませてくれます。
前回長襦袢について触れたので、今回は長襦袢には欠かせない「衿芯」について、取り上げます。
長襦袢の衿には首や顔、髪の毛などが触れて皮脂や汗などの汚れがつきやすいので、半衿をつけます。
でも長襦袢の衿と半衿だけではふにゃふにゃと柔らかいので、衣紋を抜いてきれいな衿元にするためには、衿に張りをもたせる必要があります。
そこで、衿芯を使います。
衿芯には、「差し込み式」のものと「三河芯」という衿に縫い付けるものの2種類があります。
古くからある衿芯は「三河芯」で、昔の長襦袢には、ちょっとゴワゴワしている衿のものがありますよね。
その半衿の下にあるのが「三河芯」です。
「差し込み式」「三河芯」それぞれに特徴があり、 どちらの衿芯を使うかは好みですが、現在は「差し込み式衿芯」の方が一般的です。
手軽でラクですし、衣紋も抜きやすいです。
三河芯については、また改めて取り上げることとして、今回は「差し込み式衿芯」について、少しまとめてみたいと思います。
取りあえず、代表的なものを撮りました。
上から
コーリン衿芯
塩瀬クリ
メッシュ変形
綸子一文字
綸子船底
です。
<衿芯の形>
大きく分けるとカーブのある「船底型(舟形、弓型)」と、まっすぐの「一文字」の2種類が一般的です。
船底タイプは、カーブを首に沿わせやすく、衣紋が抜きやすいです。上下逆にすると首回りに余裕ができるので、首の短い人やふくよかな人にもよいです。
一文字タイプは文字通り直線なので、半衿の中で安定しやすいです。
また、中央の下部分(=首の付け根に当たる部分)がくれている「クリ」と呼ばれるものもあります。
↑の写真で上から2番目が「クリ」で、4番目がくれた部分のない一文字ですね。
上記2つのタイプ以外に、「変形」というものもあります。(上から3番目)
カーブが首・肩にとてもよく沿います。
先端部分の拡大写真です。
塩瀬です。
(奥はコーリン)
メッシュです。塩瀬より柔らかく、透け感と通気性があります。
この2つは綸子(リンズ)。
しっかりとした厚みがあります。
極薄(ごくうす)の衿芯です。クリアファイルのような素材感。
<素材と使い分け>
① コーリン(ポリエチレン)
プラスチック製の衿芯で一番一般的なのが「コーリン衿芯」(コーリンは会社名です)。
カジュアルからフォーマルまで、そして通年使えるので、万能タイプの衿芯です。
適度な硬さと、船底型なので衣紋を抜きやすく、初心者にもオススメです。
コーリン社以外でこれと似たものに、ポリロンといった商品名のものもあります。 私個人の感想ですが、わずかながらコーリンより厚みと硬さがある感じがします。
↑の写真では分かりづらいですが、コーリンには通気性をよくするための穴があります。ポリロンにはありません。
でも、着用時に違いは感じません。(あくまでも、私個人の感想です。)
コーリンもポリロンも、2枚セットで大抵200~400円、といったところでしょうか。
② 塩瀬(本体はナイロン、縁取りは綿)
硬すぎず、柔らかな衿元を作ってくれます。繊維が斜めに走っているので肩の部分がバイヤスになり、自然なカーブが作れます。
一文字タイプのみ。通年使えます。
柔らかいので半衿の中に入れたまま長襦袢を畳んでも、折れないのは嬉しいです。
(入れっぱなしにできる! ←ズボラな私・・・( ̄∇ ̄;)ハッハッハ )
私の母は、プラスチック製の衿芯だと肩が凝るけれど塩瀬なら肩が凝らない、と昔言っておりました。
およそ1枚 300円前後。通年使えます。
実は、塩瀬には幅がいくつかあります。
手持ちのものだと、4.3㎝、4.5㎝、5㎝ のものがあります。
5㎝ のものは「幅広」のものですが、4.3㎝ と4.5㎝ のものは、おそらくメーカーによる違いだと思います。
半衿のつけ方によっては、衿芯が中で動いてしまう、あるいは逆に入らない、といったことがたま~に起こります。
③ 綸子(リンズ) (本体はポリエチレン、縁はナイロンやアセテート)
差し込み式衿芯の中で、一番厚みがあります。また、しっかりとした硬さもあります。
形も船底・一文字の両タイプあります。
硬いので衣紋がしっかりと抜きやすく、礼装向きです。特に留袖や振袖など、衿に厚みがあるものには綸子のしっかりとした衿芯を使うと、安定します。
また、古い長襦袢で、硬い芯地が入っているものにも、向いています。
だいたい1枚400円前後です。
①~③が、店頭でよく見かける一般的な衿芯です。
まだまだ続くので、今回はこの辺で・・。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。<(_ _)>