私が和裁を習っている、<公益社団法人 服飾文化研究会>による「清涼夏衣ー涼をよぶ夏のきものー」の展示公開があり、見に行ってきました。
盛夏のきものというと絽や紗、麻などが代表的ですね。透け感が涼やかですし、自然素材の繊維の織物は着ていても熱がこもりにくく、湿気が多い日本には適しています。
夏のきものは生地(織)の種類が多く、迷うことも多いと思います。
中等科で学んでいた頃は、肌着・長襦袢・長着・帯、さらに帯揚げ・帯締め・半衿など一つ一つの素材をどのように組み合わせるか、混乱したこともありました。
今ではある程度、自分なりに理解できているとは思うものの、今回展示を見てこんなにも多くの種類があったのか、と思い知らされました。
会場には大正~昭和の衣装を着付けたボディや、壁にたくさん着物などが掛けられていました。この時代は染めのデザインが大胆で鮮やか。見ているだけでもとても楽しものでした。
一番私好みだったのは、写真(↑)の新橋色の単衣の訪問着。「薄物紋縮緬 大正期 破れ麻の葉透かし織 百合と桔梗萩模様」で「久邇宮良子女王様が十六歳の頃着用されたもの」との説明書きがありました。
新橋色とは明るい緑がかった鮮やかな青色で、明治中期に日本に輸入され、ハイカラな色として大正時代にかけて流行したそうです。東京の新橋の芸者衆に愛好された色ということでこの名前がついたとか。調べると薄いターコイズブルーと説明されているものもありましたが、私の印象としてはロビンズエッグブルーの方に近いように思います。
鮮やかで上品な色で、大好きです。
ありがたいことに、会場では写真撮影や手で触れるのもご自由にとあり、生地の感触を確かめられたのは貴重な経験でした。
ルーペも置いてあったので、肉眼だけではわかりづらい繊維組織も色々と見比べることができ、勉強になりました。
個人的に感動したのは、芭蕉布をこの目で見て、触れたということです。
本などでは夏の着物として必ず出てくる芭蕉布ですが、高価なものなのでなかなか本物にお目にかかる機会がありません。
会場で初めて触ってみて「こんなに生地が薄いのか。こんなに張りがあるものなのか。」と
驚きました。本当に貴重な経験!
また、ボディの着付けの素敵なこと!着物と帯のコーディネートも素晴らしいのは言うまでもなく、帯結びも可愛らしいのです。
さらに注目したのはボディの身につけている半衿。とても美しくて可愛い!
着物に負けないくらい柄が大胆に主張してるものや細かい柄のものがあり、着物と上手に調和しています。色使いもクラシックな感じだけれど、着物を引き立てるというよりは着物と一緒に目立っている印象でした。現代では売っていないデザインのものばかり。
酷暑の中、着物で行った甲斐がありました。