写真の着物は先月認定式で着用した付下げです。これも胴抜き単衣仕立てです。
礼節を重んじる場であれば、原則しきたりに従ってその時期に合ったものを着用しますが、日常に着用するお稽古着やお洒落着などのカジュアルな装いでは、何を着るかは気温を目安として体感温度で調節します。
洋服であれば、4月でも暑い日は半袖にするのと同じ感覚です。
私の場合、基本的には長襦袢は<袖無双の単衣>→<楊柳の袖無双>→<単衣>→<楊柳の単衣>→<絽>の順で軽くしていきますが、今年のように4月でも単衣の長襦袢で暑いと感じれば、絽の長襦袢にします。
長着(=着物)は<袷>→<胴抜き単衣仕立て>→<単衣>→<絽などの薄物>と着心地が涼しく、風通しも良くなるので、これらの長襦袢と長着を組み合わせます。
同じ単衣でも紬と柔らか物の単衣では風合いや着心地も異なります。
あくまでも私の個人的な感覚ですが、4月は柔らか物の単衣では軽すぎてまだ早いかな~という気がするので、お召の単衣を着用して、柔らか物の単衣は5月からにしています。
3月後半~4月に着る柔らか物は、胴抜き単衣仕立てが快適です。
<胴抜き単衣仕立て>とは、胴裏という裏地のない着物です。でも袖口や裾などにの八掛はついているので、外側から見ると袷のように見える、いわば見せかけの袷です。
厳密には、胴抜き単衣仕立てには3通りあります。
1.胴裏を全くつけない仕立て
→ 八掛の上端を表地に縫い付けるので、八掛の縫い目が表に見える。
2.内揚げまで胴裏をつけ、袖裏にも胴裏をつける。
3.内揚げまで胴裏をつけるが、袖裏には胴裏はつけない。
→ 2と3は八掛の縫い目が表に出ないので(胴裏と縫うため)、きれいな仕上がり。
個人的には1は好きでないので、2か3にします。2にするか3にするか、つまり袖裏に胴裏をつけるかどうかは、着物の生地の裏側の染まり具合によって判断しています。
長襦袢の袖がある程度長着の袖の内側を隠してくれはするものの、染料が裏側まで浸透していなくて白っぽいと何となく気になるので、袖裏をつけます。裏側が白っぽくなければ、つけません。上半身もそうですが、袖部分も布が1枚のみの方が、断然涼しいからです。
たかが胴裏、されど胴裏・・・。この布1枚があるのとないのでは大違いです。
4月の認定式では、絽の長襦袢と胴抜き単衣仕立て(袖裏なし)の付下げでした。
快適この上ないこと!
温暖化の昨今、胴抜き単衣仕立てはますます重宝しそうです。
ご参考になれば、幸いです。☺