先月から今月にかけて、後輩着付け師たちと振袖着付けの練習会を何回か行いました。相モデルでの着付けをして、紐の締め具合や体形による全体のバランスなどを互いに確認し合いました。
振袖姿はやはり帯結びに視線が集中します。振袖用の帯結びは伝統的なふくら雀からモダンな変化結びまでそれこそ数限りなくありますが、その中から「成人式に適した帯結び」を選んで結ぶようにしています。
成人式当日は、早朝のヘアセットから式典、さらにはその後の友達との集まり等、長時間を着物姿で過ごす方が多いです。ですから「帯結びの形が崩れにくく、椅子に寄りかかっても大丈夫(←これ大事)、そして豪華」な帯結びを意識します。
練習会では体形による補正や紐や帯の締め具合などを繰り返し練習し、二人着付けの流れも確認できました。
全員納得ゆくまで練習したので、自信を持って来月の成人式の着付けに臨めます。♬
先日、喪服の出張着付けの依頼を受けました。
留袖や訪問着、振袖などのいわゆる慶事の装いのときの着付けとはまた違った注意点があるので、覚書として書き残しておこうと思います。
① 弔事用小物の予備
通夜・告別式での着付け依頼は急ですで、お客様のお着物や小物の確認ができません。レンタルの喪服でしたら一式揃っているので心配ないのですが、お客様個人の持ち物ですと小物が足りないことも考えられます。お客様ご自身もお気持ちが落ち着かないときですので、何が不足しても対応できるように小物の予備を用意して伺います。(腰紐は黒の絹縮だと、帯揚げの代用にもなることに気づきました)
② 衣装敷と着物クリップの色
着付けの際に床に敷く衣装敷は赤い縁取りがされているものが多いのですが、弔事でははばかられるので、青の縁取りの物を使用しました。着物クリップもカラフルなものを避け、白の無地や紫に銀縁の物を使用しました。
③ 着付け師の服装
私はたいてい着物姿で着付けに伺うのですが、弔事のときはグレーのスーツで伺いました。バッグも黒のトートバッグ(娘が就活の際に使用したもの)を持ち、着付けの際は黒のエプロンをつけました。エプロンのポケットに着物クリップをつけたり、懐中時計(シルバーの無地のもの)を入れておきました。
葬儀場には目のつくところに時計がありません。仕上がり時間の確認のためにも、懐中時計は便利です。(着付けのときは、指輪や腕時計などは引っかけてしまう恐れがあるので身につけません。)
今回はお通夜・告別式と2日間の着付けでした。2日目にお伺いしたとき、「着物だときちんとした姿勢になるし、気持ちも引き締まった」とおっしゃっていたのが印象深かったです。